エボラ熱は、チンパンジーだけではなく、ヒトにも感染するおそれがあります。
2014年に西アフリカで流行し、歴史上もっとも多い11,300名の尊い命が奪われました。
そこで今回は、チンパンジーとエボラ熱をテーマに話していきます。
チンパンジーに有効なエボラワクチンは存在するの?
この状況を黙って見過ごしているわけではなく、専門家によって研究が進められています。
ヒトに対するワクチンはもちろんのこと、なんとチンパンジー用のワクチンの開発も進められています。
いったいどのようなものなのか、これから紹介していきたいと思います。
エボラ熱でどんな影響が出ているの?
イギリスケンブリッジ大学、ピーター・ウォルシュ氏は、次のように語っています。
エボラ熱によって、世界中のおよそ30%のチンパンジーが亡くなっており、その数は数万匹におよぶとのことです。
チンパンジーやゴリラは、森の深いところに暮らしているため、1ヶ所でエボラ熱が流行すれば、ほとんどは亡くなってしまうそうです。
サルを食べる習慣が多いところでは、人間もエボラ熱に感染してしまうおそれがあり、ワクチンの開発は大きな希望となります。
人間用のワクチンは、少なくとも15種類のエボラワクチンが作られており、その中の1つは2018年の導入が待たれています。
対策はあるの?
チンパンジーをエボラ熱から守るために、矢による薬の注入ではなく、口から摂取できるものを開発しました。
英科学誌「Scientific Reports」に掲載された論文では、10匹のチンパンジーを対象にワクチンの有効性が確認されました。
「filorab1」というワクチンが安全で、エボラウイルスに対して強い働きかけを行うことが示されました。
ピーター・ウォルシュ氏は、野生のサルにこのワクチンを入れた餌を食べさせた後、ゴリラ、チンパンジーへと拡大していくそうです。
まとめ
エボラ熱が原因で世界の約3割ものチンパンジーが亡くなっており、集団生活をしているため1ヶ所に広まれば感染は免れません。
そのため、研究者たちが開発したワクチンをチンパンジーに試験投与したところ、安全性と有効性が確かめられました。
見えない敵から守るために努力してくれている人々もいるのだと感動しました。