チンパンジーは、ヒトと異なり白目ではありませんが、いったいどのようにその目に周りが映っているのでしょう。
「色」がどのように認識されているのか、そしてまた、「目」の動きに何か特徴があるのでしょうか?
そこで今回は、チンパンジーと「目」をテーマに話していきます。
「色」や「目」の見え方を通してチンパンジーを考えよう!
チンパンジーは類人猿と呼ばれていますが、「色」の見え方にヒトと共通することはあるのでしょうか?
また、物を見る際に何を手がかりにして、「目」を動かしているのでしょうか?
これらの疑問について、これから答えていきます。
チンパンジーの「色」の見え方は?
色については、日光についてプリズムを通して分けると、波長の長い順に次の7色の存在を確認できます。
7色とは、赤色、オレンジ色、黄色、緑色、青色、藍色、紫色を指します。
実は、類人猿に分類されるチンパンジーは人間と同じで、赤色、緑色、青色の3原色を識別できます。
しかしながら、オスの中には色弱や色覚多様性の個体が多く見られるそうです。
色弱や色覚多様性をもったオスが出現する割合は1.7%と、ヒト(男性)の5%に比べると小さいです。
イヌやネコなどのほとんどの哺乳類は、2原色、赤色と青色を、鳥類や昆虫類は4原色、赤色、緑色、青、紫外線を見分けられます。
目をどのように使っているの?
京都大学の研究チームは、他者が示す方向の手がかりにチンパンジーとヒトがどんな反応をするかを調査しました。
その結果、次の2つのことが分かりました。
1つは、チンパンジーは他者の示す方向の手がかりに対して反応しやすく、モデルによって反応に違いが見られるということです。
もう1つは、モデルに関係なく方向の手がかりに敏感であることが確認されました。
具体的には、写真の中のモデルがある方向に顔を向けている場合、その写真を見たヒトは、同じ方向をつられて見てしまったそうです。
参加したチンパンジーは、チンパンジーのモデルが向いている方に目を動かしましたが、ヒトの場合には同じ方へ向けませんでした。
ちなみに、実験に参加したチンパンジーは子どもの頃から人間と深い関わりのある個体です。
まとめ
チンパンジーの色の見え方については、ほぼヒトと同じような光景が視覚で認識されているようです。
驚いたのは、色弱や色覚多様性の個体がわずかながらも現れる場合があることです。
チンパンジーは、ヒトよりも同種の個体を手がかりにして反応している可能性が高いことが分かりました。