社会性のある動物として知れているチンパンジーですが、いったいどういった理解をしているのでしょう。
ヒトと同じように言語を理解できるのでしょうか?
また、グループで行動をする際に、どうやって仲間を識別しているのでしょうか?
チンパンジーは、言葉が分かるの?個体識別の方法は?
愛嬌のある姿をテレビで見せてくれるチンパンジーに親近感を持つ人も多いですが、今回は次の2つの疑問に答えていきます。
では、私たち人間の話す言葉を理解することはできるのでしょうか?
集団の中にいて、どのようにして仲間の一人ひとりを区別しているのでしょう。
言葉を理解できるの?
ハーバート・テラス氏の行った実験によって、チンパンジーは言語を理解しないという結論が導かれました。
この実験を行った背景には、ノーム・チョムスキーの「言語は人間の生まれつきの能力」という説に反論するためでした。
ちなみに、チョムスキーはアメリカを代表する言語学者で、マサチューセッツ工科大学に50年以上にわたり籍を置いている学者です。
同氏は、チョムスキーをもじった名前ニム・チンプスキーとチンパンジーに名付け、手話を学ばせました。
テラスは他の会話を行う類人猿も調査したところ、どの類人猿も、同様にまったく言語を理解していないという結果になりました。
何で個体を識別しているの?
チンパンジーは、なんとお尻を個体識別の助けとしていることが分かりました。
いつも認知手段として利用しているものを、上下を逆にしてしまうと、認識しづらくなることを倒立効果と呼びます。
オランダのライデン大学の研究によって、ヒトとチンパンジーに対して倒立効果の実験が行われました。
その結果チンパンジーは顔の画像を逆さまにしても認知に差はありませんが、お尻の画像を逆さまにすると認識しにくくなったそうです。
ヒトの場合は、チンパンジーとは異なり、顔の画像は認知に差が出ましたが、お尻の画像の場合は特に変化はありませんでした。
このことから、チンパンジーは「お尻」を手がかりにして個体間の識別を行っていることが分かりました。
まとめ
残念ながら、チンパンジーは言語を理解できるとは言えないようです。
しかし、チンパンジーはコミュケーションツールとして、お尻の形で個々人を認識していることが分かりました。
これだから、繁殖期にメスのお尻が膨れ上がるとオスは士気が高まるわけなのですね。